◇2005年度の統計調査で育児休業取得率は女性が72.3%で、男性は0.5%だった。欧米諸国と比べると、日本の育児休業取得率で男性の取得率の低さは先進国の中では「世界一」の状態。昨今の離婚率の増加により、父子家庭や母子家庭が増えているにもかかわらず男性の育児休業は事実上、200人の男性に対して1人が取得しているような現状だ。このような状況を生み出している最大の要因は、日本独特の「女は家庭、男は仕事」という昔ながらの考え方と、企業で働く男性が育児休暇を取りにくい労働環境が挙げられる。もし仮に、男性社員が育児休暇を利用したとしても、大企業なら出世に影響し、中小企業なら取得自体が困難といった具合だ。 |
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子供は親があって育つという根本的なものを企業は考えなければならない。「親がいなくても託児所や祖父・祖母に預ければ大丈夫だ」という意見もあるが、生まれたばかりの子供は当然生まれた段階から、さまざまな影響を受けて育つわけだから、親の影響をあまり受けずに育つことは好ましいことではない。父親と母親が子育てで協力できる環境をつくるためには、女性のみならず男性が育児にしっかり参加することはあたりまえの話だ。あたりまえができていない日本独特の社会構造は変化しなければならない。男女共同参画という言葉があるが、本当の意味で男女共同参画の社会を実現するには、この制度で「男性が育児休暇を取得すること」である。「前例がない」とかの問題ではない。前例は例をつくってしまえば無くなるものだ。ひとりひとりが「育児休暇制度」を積極的に活用していけば、社会で認められ、あたりまえ化するのである。厚生労働省が積極的な制度を実施しようとしている今、これまで通りの消極的行動をしていては、社会は何も進歩しない。住みよい社会を造るために、世で仕事をするサラリーマンが、勇気を出して制度を活用することが求められていると言っても過言ではないだろう。
2006年10月18日 アドネット編集部 池野晴樹
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