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社会記事 59時間連続労働を指示した「運送会社社長」を逮捕

◇今年5月、茨城県常陸大宮市でトラックが対向車に衝突し、6人が死傷した大事故をめぐり、茨城県警大宮署は11月20日、トラックの男性運転手(24)に普通ではありえないケタ外れの長時間運転を命じたとして、運送会社「北関東運輸」の社長・石塚安民容疑者(55)ら2人を道交法違反(過労運転下命)の疑いで逮捕した。男性運転手は2日あまりの間に約2500キロを連続で運転させられた末、居眠り事故を起こしていた。2500キロと言えば、ほぼ本州一周に相当する距離である。事故を起こした社員は、ほとんど寝る間もなく上司に課せられた過酷な勤務をしている時に大事故を起こしてしまった。しかし、事故を起こした男性の責任よりも会社自体に責任があると警察が判断し、今回、会社上層部の逮捕に至った。

今回の逮捕では、業務管理の責任がはっきりと明確化されたもので、運送業界にはびこる「無茶苦茶な勤務体制」に一石を投じる可能性が高い。「北関東運輸」と似たような勤務体制の運送会社は現実としてかなりの数がある。少人数で運送会社を経営している会社がまさにそれだ。「荷物」のため「人」を犠牲にしているといわれても言い訳はできないだろう。大手の運送会社には、最低限「人」が守られた会社が多いが、無理なノルマを社員に課せている会社もあり、全てが過労運転下命をしていないとは言い切れないのが現状だ。


逮捕された「北関東運輸」の石塚容疑者らは、調べによると5月25日夕、運転手が過労で安全運転ができなくなる恐れがあると認識しながら、翌26日午前1時から28日午前10時すぎまで、約59時間の長時間運転を指示し、過労運転をさせた疑い。逮捕された容疑者らは容疑を大筋で認めているという。


運転手がハンドルを握る4トントラック車は、異常かつ、壮絶な道のりをたどっていた。5月26日の深夜、午前1時に栃木県大田原市の同社を出発。まず、神奈川県藤沢市内で荷降ろしをして1度、栃木県那須塩原市の配送センターに戻って、再出発。群馬県の高崎インターチェンジから関越道、中央道、名神高速、山陽道などを通り、翌27日午前7時15分、岡山県新見市に到着。だが、休む間もなく荷降ろしをして出発。神戸市に寄って荷積みし、中央道や常磐道を経て、翌28日午前5時50分に茨城県東海村に到着。ここで、荷降ろしをして、同10時10分に大田原市内の同社へ向け出発。あとは帰社するだけだった。しかし、ここで運転手の体力と精神力は限界に達した。運転手は同県常陸大宮市で居眠り事故を起こし、6人を死傷させてしまった。


事故を起こした業務上過失致死傷罪で禁固2年8月の実刑判決を受け現在服役中。だが、取り調べの中でこの異常すぎる働きぶりが明らかになったため、茨城県警は運転手を雇用していた会社の責任と業務管理者の責任を調査追及し、今回の逮捕へと至った。石塚容疑者には、会社トップとして事故に対して責任を負わなくてはならない義務がある。このような無茶苦茶な勤務体系がなければ、事故は起きなかったであろう。
社員として雇用されている運転手は社長の命令には逆らえない。逆らえないからこそ社長は無茶な業務命令をする。これはある意味、パワーハラスメントと同じこと。取調べなり裁判はこれからだが、運転手が実刑禁固2年8月なら、社長にはそれ以上の厳しい実刑判決がでてあたりまえの話である。



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2006年11月25日 アドネットニュース編集部 山本健一記者