経済記事 ステーキの「あさくま」をテンポスバスターズが再建支援

◇業績不振に苦しむステーキ専門店のあさくま(名古屋市天白区)は、12月12日、ジャスダック上場の厨房機器販売会社テンポスバスターズと、業務資本提携を結んだと発表した。

あさくまは、1962年に現社長の近藤誠司氏が、愛知県日進市でステーキ専門店を開店。外食産業では東海地方屈指の老舗的な存在である。あさくまは、当時、一般庶民には縁のなかったステーキを大衆価格で販売。肉を焼きながら食べるように開発したペレットなどユニークな経営で人気を呼び連日大盛況であった。しかし、近年は外食産業の多角化や相次ぐ値下げ競争に対応できず業績不振が続いている。ピーク時の1994年頃は全国に120店舗を展開したが、牛肉価格の価格下落と消費者の「あさくま」離れから売上が下落。現在は、愛知県を中心とする31店舗までに店舗数を縮小。売上高も10年近くにわたり減りつづけ、純損益は3年連続で赤字となっている。

テンポスバスターズと業務資本提携を発表した「あさくま」は、テンポスを引受け先とする第三者割当増資と新株予約権付社債を発行し資金調達を得る。調達額は4億7000万円だ。ここで得た資金を老朽化した既存店舗の改装や、人材の新規採用に教育、流通経路の改革に新メニューの研究開発等に使い社内の総合的な改革を行う。また「あさくま」は2010年までに株式公開を目指す。株式公開を行った場合、テンポスバスターズは引受けた社債を株式に転換し、40%近くを保有する「あさくま」の筆頭株主となる。

前世紀末に一大ブームをひきおこした「あさくま」は、今も昔も固定客は多い。店舗拡大路線末期の頃は、看板商品のステーキの肉質が落ちることもしばしばで、店舗によって「良し悪し」がはっきりしていた。値段相応の商品が提供できているかいないかは消費者が決めるもので、結果的に客離れが起きた事は事実である。この業界、一度信頼を失うと客はなかなか戻ってはこない。消費者に固定観念が生まれたり語り継がれたりするからだ。
しかし、今の「あさくま」は昔ながらの味と昔ながらの良質な肉質に戻ったとの消費者の声も多い。創業者でもある近藤社長も「客が戻りつつある今の現状」には気づいているであろう。今回の再建支援に関して記者会見した「あさくま」の近藤社長は「資金だけでなくノウハウの共有で利害が一致した。将来的にはお客様に株主になっていただきたい」と話した。上場された場合、株主優待を含めて積極的な株主への利益還元策をとる可能性があると思われる。一にも二にも、まずは経営基盤の再建である。再建がうまくいけば当然一大ブームを築いた頃の「繁栄」が戻ってくる。今回の業務資本提携から生み出される経営計画の結果は、3年後には必ずでる。良い結果がでるのか悪い結果がでるのかは、現時点では分からないが期待できる材料であることは事実である。

ステーキの「あさくま」ホームページ
ステーキの「あさくま」近藤誠司社長 紹介のページ
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2006年12月17日 アドネットニュース編集部